蟠渓温泉「伊藤旅館ひかり温泉」
2016年7月8日記事
蟠渓温泉「伊藤旅館ひかり温泉」は、伊達市向有珠町からすぐ近くの温泉郷です。
ばんけい温泉は、1883(明治16)年、伊藤温泉旅館の開業で始まったとされる。
ばんけい温泉は、幌別硫黄鉱山の最盛期、芸者も居る温泉街としてにぎわったが、73年に閉山。
今ではレトロな秘湯の雰囲気が味わえる。
創業100年を超える老舗「伊藤温泉旅館ひかり温泉」に10年以上前、40台半ばくらいの男がやってきた。
「作詞家・久仁京介」と名乗った。
「ひかり温泉音頭をかきたい」。看板屋の経験もあるという。
トタン板3枚を男女の大浴場の壁にそれぞれ張り、4日ほどで仕上げた。
水辺の風景を背景に、音頭の歌詞が書いてある。1番だけで、署名は無い。
新沼謙治の「津軽恋女」、福田こうへいの「南部蝉しぐれ」など演歌のヒット作を手がけた大物。だが、「手持ちの金が無い。会社がまとめて払う」と言いつづけた。
1ヵ月後、宿代十数万円を精算せずに姿を消した。調べたら年恰好や顔が違い、偽者とわかった。
でも宿のペンキの塗り直しに精を出し、玄関に掲げる看板も書いた。
主人の村岡勲さん(72)と妻の喜美子さん(66)は「宿代は踏み倒されたけど、損はしなかった」と笑う。
「ひかり温泉音頭」が掲げられる大浴場も、国道の改良工事で取り壊されることになった。
この宿の湯治の最長は、5年で、隣町の病院に勤める薬剤師は、「アパートより安い」と、ここで3年間暮らしていた。「朝日新聞の抜粋」より
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