2019年3月18日月曜日

ウウェペケレ(昔話)Ⅱ 『有珠山』

むかし、トカプチ(衰える土地:十勝)のコタン(村)に、イモシタクルと言う名の男
  がおったが、この男は子供のころからのウェンペ(悪い者)で、村人から嫌われて
  おった。
   ところが、ある日イモシタクルは病気になり、突然、あっけなく死んでしまった。
  そして、カムイ(神様)の前に行ったが、イモシタクルはこの世にいるときに悪事
  ばかり働いていたので、神様はカムイモシリ(神の国)に行くことを許さなかった。
  行く先の無くなったイモシタクルは、どうせ嫌われるなら、もっと悪いことをやって
  やろうと自暴自棄になり、地上に舞い戻って悪事の限りをつくした。

   これを知った神様は大いに怒り、アイヌモシリ(人間達の静かな土地:北海道)
  中を逃げ回るイモシタクルを追っかけ追っかけして、トーヤ(湖の岸:洞爺湖)の
  南のアプタ(虻田)で追い詰めて、ものすごい力で思いっきり蹴飛ばした。
  イモシタクルは、いずこへとも無く飛ばされていって、行方が分からなくなって
  しまった。
   その時の神様の力があまりにも凄まじかったので、あたりは大地震のようにグラ
  グラと揺れた。そのはずみで、有珠山は大噴火をおこしたんだと。 

   有珠山は毎朝眺める山だった。私の生家は洞爺湖北畔にあり、南側の窓には
  パノラマの様に湖が広がり、中島が、そしてその後ろにでんと土瓶の様な形で
  いつも見えていた山だった。
  だから仲間内では土瓶山とも呼んでいたし、遠足で登ったり、ハイキングに出かけ
  る山だった。

   私の卒業した学校の、校歌に「いつの日か、火をふきや止めて、有珠岳は、
  しばしやすろう」と言う一節があるのを、唐突に思い出した。
   先日、友人に「今年は、この学校を卒業して30年目の年にあたるのだ」と言わ
  れたのだが、この30年間に有珠山は2度も火を噴いている。この歌詞は、いまも
  そのまま歌われているのだろうか?いつになったら、有珠山は本当に火を噴き止
  め、そしてやすろうのだろうか?などと、つい、思いをめぐらせてしまった。 
 
  有珠山データ
  有珠山は今から1万5千年~2万年前に洞爺カルデラの南壁に火山活動を始め、
  富士山の様な形の火山をつくり、その後7~8千年前に山頂部分が大崩壊を起こ
  して、現在の外輪山の原型が形づくられました。その後の数千年は静かに眠り
  続けていましたが、1663年8月に突然大噴火をおこし、それ以降も1769年1月、
  1822年3月、1853年4月、1910年7月19日、1944年6月23日、1977年8月7日、
  2000年3月31日と計8回の噴火を繰り返しています。(日付は噴火初日)
  
  

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